Ⅱ 7つの重点政策

Ⅱ 7つの重点政策

「憲法・人権・平和の堅持」と「業務基盤の確立」。この2つの課題に日弁連のリーダーとして正面から取り組み、「頼りがいのある司法」を築くため、日弁連会長選挙に立候補いたしました。

[1] 立憲主義・恒久平和主義を堅持し、弁護士の活動の基盤をゆるぎないものにします

1.立憲主義・恒久平和主義の堅持

戦争は最大の人権侵害であり、平和を守ることが立憲主義、法の支配を基底から支えるものとなります。日弁連は、創立以来、憲法の立憲主義、恒久平和主義を堅持して、近時は、2015年に安保法制に反対を表明しました。また、2018年5月の定期総会で、自由民主党憲法改正推進本部が方向性を示した改憲条文イメージ(たたき台素案)の9条の2について、立憲主義、恒久平和主義の立場から、課題ないし問題点を指摘したところです。
立憲主義は、自由と公正という法の理念による「法の支配」と同義であり、それを守ることは、弁護士法1条 に定める基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命そのものです。立憲主義は、思想・信条・宗教等が異なる様々な人々が、人権保障のもと、共に暮らすための人類普遍の原理です。国家や社会的強者による人権侵害に対して、司法による救済がなされなければ、立憲主義は画餅に帰します。
2015年安保法制は立憲主義、恒久平和主義に反するものであり、今なお違憲の状態が続いています。そのような中、自衛隊明記や緊急事態条項など憲法改正に関する議論が本格化しつつあり、これから正念場を迎えます。この問題に日弁連は正面から向き合わねばなりません。

2.憲法9条の2自衛隊明記案と緊急事態条項

日弁連は、新たに憲法9条の2を新設して自衛隊を明記する案について、次の2点の問題点を指摘しました。すなわち、自衛隊を明記する案は、「必要な自衛の措置」の内容が限定されておらず、海外における武力行使及び集団的自衛権の行使を禁止するというこれまで憲法9条が果たしてきた憲法規範としての機能が減退ないしは喪失し、存立危機事態はもとより、それ以外の場面でも集団的自衛権の行使が容認される危惧が生じ、日本国憲法の恒久平和主義の内実に実質的な変化を生じさせるおそれがあります。また、「必要な自衛の措置」としての武力行使の限界を定めていないため、その判断が内閣又は国会に委ねられることになることや、自衛隊の行動に対する「国会の承認その他の統制」の具体的な内容が法律に委ねられていることから、自衛隊の行動に対する実効性のある憲法上の統制を実現することに疑義が生じ、立憲主義に違背するおそれもあります。この日弁連の総会決議を踏まえ、さらに新たな情勢に正面から対峙し、国民・市民に適切な情報を発信していきます。
また、日弁連が2017年の意見書で指摘したとおり、緊急事態条項については、濫用されることにより、立憲主義が破壊され人権が侵害される危険性があり、実際に濫用された歴史があることに照らして、憲法の制定過程においてむしろ積極的に緊急事態条項を設けることを拒否していた事実があります。同意見書のとおり、戦争・内乱等・大規模自然災害に対処するために緊急事態条項を設ける必要性は認められず、まず法律の制定・改正や運用の改善などによる対処が検討されるべきであり、また事前・事後の国会承認等によっては内閣及び内閣総理大臣の権限濫用を防ぐことも困難です。したがって、私は、緊急事態条項を憲法に設ける必要性は認められないという考えに立ち、今後の情勢に対応していきます。
日弁連は、立憲主義、恒久平和主義を堅持する見地から、独立不羈の立場で、丁寧な議論を重ね、立憲主義や憲法の基本原理との関係で、今後議論される憲法改正案にどのような問題点があるか、日弁連の意見書や総会決議を踏まえて、法律専門家団体としての意見をまとめ、国民・市民に情報発信していくべきです。

3.憲法改正手続法の問題点

さらに、憲法改正手続法については、日弁連が意見書で問題提起をした8項目――①個別投票方式、②公務員・教育者に対する運動規制の削除、③組織的多数人買収・利害誘導罪の削除、④国民投票広報協議会の構成、公費によるテレビ、ラジオ、新聞を幅広い団体が利用できる制度に変更、有料意見広告放送のあり方の検討、⑤発議後国民投票までの期間の延長、⑥最低投票率の規定の設置、⑦国民投票無効訴訟の提起期間、管轄、無効事由の整備、⑧合同審査会や両院協議会の国会法規定の削除――に関する見直しを求め続けるとともに、2018年の意見書で指摘した有料意見広告放送の問題点――資金力の多寡による賛否の情報量の格差、広告代理店とCM出稿の関係、CM考査における量の規制の不存在――等が払拭されるよう活動を進めていきます。

4.弁護士の活動基盤としての立憲主義・恒久平和主義の堅持

立憲主義、恒久平和主義は、弁護士の活動の基盤としても堅持されなければなりません。戦前、軍国主義の流れの果てに、「弁護士は正業につけ」と言われたことに象徴されるように、弁護士は、平和の中でこそ活躍できるものです。同時に、立憲主義・法の支配に基づき権利侵害を回復することを使命とする弁護士の活動は、様々な権利を侵された少数者を依頼者とすることが常であり、その救済・回復のために存分に力を発揮するためにも立憲主義が堅持されねばならないのです。法が軽んぜられる社会では、弁護士、法律家は力を発揮することはできません。立憲主義、恒久平和主義は、我々弁護士の活動の基礎条件でもあります。
以上、立憲主義、恒久平和主義の堅持は、弁護士の使命であると同時に、弁護士の活動の基盤として堅持されなければなりません。

[2] 弁護士の独立・自治、法律事務の独占を堅持します

「弁護士の独立・自治」は、[1]で述べた立憲主義と不可分であるだけでなく、弁護士の独立・自治は、[1]で述べた立憲主義・法の支配を支える重要な基盤です。人権侵害だけでなく刑事弁護をはじめ国家賠償事件、税務事件等の行政事件において、弁護士は国やこれに準ずる社会的強者に対峙して職務を行っており、この役割を十全に果たし、市民の司法に対する信頼を得るためには、弁護士が国家権力や社会的強者から独立性を保つことが不可欠です。弁護士自治は、弁護士の独立を守るために不可欠な制度的保障です。
私は弁護士の独立・弁護士自治を守り抜きます。
2019年に行われたFATF対日相互審査に基づき今後なされる勧告に対し、弁護士の独立・弁護士自治の観点から適切に対応し、弁護士の職の根幹を確保します。
また、弁護士自治は、法律事務を独占する弁護士の全てが加入する強制加入団体が会員たる弁護士の懲戒権能を持つ(弁護士自治)という意味で、「法律事務の独占」「強制加入団体」と密接不可分の関係にあります。
弁護士の法律事務独占については、隣接士業を含め非弁行為に対して、消費者被害の防止、市民の権利を守るという観点からの厳正な対処を行います。特にインターネットを利用した非弁行為が増加している状況に対応するため、弁護士会の枠を跨いだ非弁対策が可能になるような体制作り及び事前予防的な対策の構築を、日弁連として検討します。隣接士業による業務範囲の拡大のための法改正の要求に対しては、関係各所への働きかけや協議を積極的に行い、この問題が単なる弁護士の職域確保の問題ではなく、市民と社会の利益に関わる問題、健全な法律秩序の問題であることについて理解が得られるように力を尽くします。
一方で、弁護士の業務拡大、さらに市民にとって分かりやすく、便利な法律サービスの実現のためには、他士業との協働が必要な場面があり、特に相続や遺言、事業承継などの分野では、ワンストップサービスによる分かりやすい法律サービスが求められています。このような弁護士と他士業との協働の場面においては、事件処理や報酬の分配、共同広告など難しい問題がありますが、弁護士が安心して他士業と協働できるように、非弁提携とならないルール作りに取り組みます。

[3] 弁護士過疎・偏在対策及び中・小規模弁護士会への実効的な支援を実行します

現在、大規模弁護士会の会員数は数千人を超え、200人を超える弁護士が一箇所に所属する事務所も生じています。他方で、会員数十人から100人内外の中・小規模弁護士会が20近く存在します。このような中・小規模弁護士会は、広い管轄地域を抱え弁護士過疎・偏在問題に直面し、厳しい財政状況に置かれています。
弁護士によって全国あまねく司法サービスを行き渡らせることは、法律事務を独占する実質的基盤となることから、弁護士過疎・偏在問題は、弁護士全体の責務であり、日弁連全体で取り組むべき重要な課題ととらえるべきです。そのような観点に立って、弁護士過疎・偏在対策、中・小規模弁護士会への財政的支援の拡充、日弁連からの要請事項等の効率化の工夫などについて、各地の弁護士会の実情とご意見をお聴きして、実効的かつ現実的な対策を検討し実行します。
あわせて、地域司法の核となる各地の裁判所・支部等の機能がこれ以上低下しないよう、裁判所の人的物的基盤整備を最高裁等に粘り強く働きかけていきます。

[4] 若手弁護士への支援を具体化します

新たな法曹養成制度のもとで育った若手弁護士が、この10年間で大幅に増えており、全会員の半数近くを占めています。若手弁護士は、「頼りがいのある司法」の担い手として、これから弁護士界の中核となっていきます。若手弁護士が将来に希望と意欲をもって持続的に活動に取り組めるよう、その業務基盤を確立・拡充します。そのために、若手弁護士との対話を通じて得られた知見に基づき、以下の具体策を実行し、各種の制度を整備します。

1.既存業務基盤の充実

第1の方策は、現在、各地の若手弁護士が重要な業務基盤としている「既存業務の基盤の充実」です。
① 法テラスの国選弁護及び民事法律扶助の報酬の適正化(増額)
法テラスの国選弁護及び民事法律扶助の弁護士報酬を適正化(増額)します。弁護士が多大な労力と時間をかけて業務をしているのに、報酬が正当に評価されないのであれば、若手弁護士の業務基盤は安定しません。
② 民事司法改革
弁護士の中核業務である民事訴訟その他民事紛争解決の仕組みを市民や企業にとって使いやすいものにして「司法の利用率」を大幅に向上させることにより、業務基盤を拡充します。市民が身近な手段として民事訴訟を利用することができ、充実した審理を通じて社会常識に沿った納得できる内容の判決が得られ、かつ、得られた判決が最終的には執行により実現されるよう、民事司法改革を推進します。民事司法改革を行うことにより、泣き寝入りしている人々の権利救済・紛争解決が公正な手続を通じてできるようになり、「頼りがいのある司法」が実現します。
⇒民事司法改革の詳細については、「Ⅲ持続性をもって発展させる重要政策 [3-2] 頼りがいのある民事司法を築く-民事司法改革への取組みを更に強化します 1. 民事司法改革を強力に推進します」をご参照ください。

2.業務分野の開拓・拡大

第2の方策は、若手弁護士が活躍できる業務分野の開拓・拡大です。
①中小企業の事業承継、②外国人事件、③後見事件、④消費者事件、⑤女性や子どもの権利の事件等については、他士業等の非弁行為の取締りを厳しく行います。本来、弁護士が行うべき事件を弁護士の手に取り戻し、これにより、若手弁護士がこれらの事件を多数手がけることができるようにします。
他方、若手弁護士の自由な発想による業務開拓の条件整備をはかるため、他士業との連携・協働の許容性等について相談する仕組みを検討し、他士業等と弁護士との適切な協働を積極的に支援します。
また、新たな業務分野に関する研修を充実させ、ベストプラクティスを共有するため先進的な実践を行う事務所でのOJTや、実務を行う際の経験弁護士によるサポート体制構築などの取組みを進めます。実践的な最新の情報をスマートフォン等で提供する仕組みも構築します。

3.ワークライフバランスを図る環境整備

第3の方策は、ワークライフバランスを図る環境整備に向けて、弁護士の勤務条件の改善やIT等を活用した仕事の効率化等を支援します。

4.いわゆる「谷間世代」の弁護士の支援

いわゆる「谷間世代」の問題については、法曹養成は国の責務であるという理念に照らして、貸与金の返済が重い経済的負担となっている状況は看過することができません。日弁連においても支援策が検討実施されてきましたが、不公平な状態をそのままにした国に対して適切な是正を求めることを含め、「谷間世代」の弁護士への支援として日弁連としてさらにできることを継続して検討します。

[5] 弁護士の活動領域と新たな業務の拡大を目指します

2019年6月30日時点での弁護士人口は約41,000人となり、毎年約1,000人の弁護士が純増する中、弁護士の活動領域と業務の拡大は、日弁連にとって最も重要な課題の一つです。弁護士が確固たる経済的基盤を持つことは、弁護士が担い手となる人権擁護活動を支え、活性化させ、頼りがいのある司法を築くための重要な要素でもあります。以下の具体策を実行します。

1.弁護士費用保険の拡充

弁護士費用保険は、費用面で司法の利用を躊躇する市民の司法アクセスを促進する共助の仕組みとして、法的サービスの需要者である依頼者と供給者である弁護士の双方にとって意義の大きい制度です。近年は、交通事故以外の領域に適用される保険商品や中小事業者向けの保険商品、さらには一部の刑事弁護費用も対象とする商品も開発されるなど、その普及が加速しており、保険により支払われる弁護士報酬額は国選刑事事件の約3倍以上(推計)の規模となっています。
対象分野の拡大にともなって、日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)を通じた弁護士の紹介について、よりきめ細やかな対応が必要とされています。分野によっては、先行するLAC以外の委員会がすでに一定の弁護士紹介システムや候補者名簿を備えているような場合もあり、このような場合には、日弁連内の委員会レベルや各単位会での制度設計において様々な調整が必要になります。
また、弁護士費用保険の拡充には、日弁連と全国の弁護士会の協力が不可欠であり、弁護士の業務拡大という観点のみならず、真に市民の利便性と権利擁護に資する制度とするため、協定保険会社等、関連委員会、そして全国の弁護士会の会員の皆様と緊密な連携を図りながら、積極的に報酬基準を含む損害保険会社の商品企画や運用に関与し、さらなる制度の普及・発展に邁進していきます。

2.組織内弁護士の支援

組織内弁護士は、2019年4月1日時点で、企業内弁護士が約2,400人、任期付公務員である弁護士が約200人となり、会員の約6%に達しています。弁護士が企業や中央官庁・自治体等の内部に身を置くことは、企業、国や自治体にも法の支配を及ぼすことにほかなりません。今後、さらに組織内弁護士の活躍の場を広げていくために、企業や官公庁に対し採用に向けた働きかけを行います。
企業内弁護士については、2018年12月31日時点で約1,600人の組織内弁護士が加盟する日本組織内弁護士協会(JILA)や経済団体と連携しつつ、求人や業務に関する情報発信や会務への参加を促進する環境整備を進めます。任期付き公務員についても、国・自治体との情報交換や連携を強化し、求人や経験交流集会等の情報発信を強化します。
また、コンプライアンス(法令遵守)・CSR(企業の社会的責任)・ビジネスと人権・ESG(環境・社会・ガバナンス)・SDGs(持続可能な世界実現のための開発ゴール)等の視点に基づき、より広い意味での企業活動の適法性・妥当性・持続性の確保に、企業内弁護士が、海外の弁護士に後れを取ることなく、「企業の良心」として関与できるように環境を整えます。

3.中小企業支援の取組みの推進

中小企業はわが国の企業の99%を占め、雇用の約7割を支えています。弁護士による中小企業の支援は、地方創生という国の重要な政策課題に沿うものでもあり、各地の経済を振興し、地域の社会・市民を支援することにつながります。
中小企業者向け相談受付専用ダイヤル「ひまわりほっとダイヤル」を通じて、各地での事業承継・事業再生・創業支援等の中小企業支援の取組みを推進します。各地の弁護士会が、商工会議所・商工会などの中小企業支援団体、経産省・中小企業庁その他の関係省庁や自治体、金融機関、各種士業団体などと、役割分担の上で連携をはかり、弁護士が中小企業法務を充実して行えるよう支援します。
これ以外にも、国や自治体との連携を強化し、公金債権の管理回収・条例制定支援等の業務の拡大を目指すとともに、国際分野やIT化等の新たなスキルが求められる業務分野についても、弁護士の関与が必須であることを発信していきます。

4.研修の充実と手軽に利用しやすい受講方法の開発

弁護士の活動領域と業務範囲の拡大を支えるものとして、各地の弁護士のスキルアップを支援し、全国で身近に最先端の法的サービスを提供できるように、研修の更なる充実をはかります。
特に、中小企業の創業、再生、事業承継、M&A、知財、独禁法のほか、IT、ビッグデータ等の情報問題も含めた先端分野の研修を充実させます。また、中小企業の海外展開や外国人事件の増加に対応する法務英語の研修を充実させます。
これらの研修については、スマートフォン等を利用するなどして、いつでもどこでも身近で手軽に利用しやすい形で受けられるような受講方法の開発を進めます。

[6] 男女共同参画の更なる推進を~日弁連、弁護士会、弁護士のあらゆる活動場面に男女共同参画の視点を取り込みます

立憲主義のもと社会の持続的発展に向けて、日弁連、弁護士会や弁護士が、その使命を果たすためには、多様性の確保とともに、国民の半数を占める女性にとって頼りがいのある存在でなければなりません。
社会における性別役割分担や固定観念による偏見(ジェンダーバイアス)は、司法においても根強く存在し、時には法律相談や裁判の中でも、深刻な二次被害をもたらしています。男女の役割意識が大きく変わり多様化していることをふまえ、ジェンダーバイアスによる二次被害が起きないよう、まず、私たちが学び、そして司法にも理解が広がるように、研修や啓発活動を強化していきます。弁護士が男女共同参画の意義を理解しジェンダーの視点を持つことは、弁護士会内での男女共同参画の推進に必須であるだけではなく、基本的人権の擁護者たる弁護士の日常業務においても重要です。
最近では、子育て期間のみならず介護の負担と業務の両立で、男女ともにワークライフバランスが重要になっています。日々進歩するITの活用等、働き方改革にかかる情報を提供し、弁護士業務を効率化している事務所や、ワークライフバランスを支援する取組を行っている事務所の例を全国の会員と共有するなどして業務と家庭の両立を支援します。
女性弁護士の経済的基盤を確保することは、性暴力被害等に対する女性の権利擁護のためにも重要といえます。女性弁護士と男性弁護士との間にある所得及び業務格差の解消にも取り組む必要があります。女性経営者・女性士業とのネットワーク作りや、女性社外役員の推進を通じて女性弁護士の業務領域を拡大するとともに、社会の多様性にも貢献する取組みを推進します。
昨今の司法試験合格者に占める女性割合は微減し、裁判官、検察官等の法曹と比べて弁護士に占める女性割合が相対的に低いという現状があります。①女性の法曹志願者や合格者を増やす、②弁護士登録をする女性合格者を増やす、③登録取消しをする女性会員を減らすことにより、女性弁護士を増やすための施策を強化する必要があります。具体的には、女子中高生等の学生に対して、法教育の場等を利用して、弁護士が人権擁護等やりがいのある仕事をしていることなど、弁護士の魅力を積極的に伝えていきます。また、弁護士業務の効率化、弁護士業務と家庭での責任の分担や両立支援、「職務上の氏名」の利用範囲の拡大・強化等の女性弁護士が直面している業務上の障壁を取り除いていくための努力を継続していきます。
意思決定過程への女性会員の参画については、副会長及び理事に占める女性会員の割合を高める制度(クオータ制)とともに、会務や会議を効率的に運営し、女性があらゆる意思決定に参加しやすい環境整備を進め、それを全国に展開していくことが重要です。

[7] 法曹養成・法曹人口問題に取り組みます

法曹養成問題については、法曹志望者の減少への対策や、今般の法科大学院に関するいわゆる「3+2」や在学中受験可能とする制度改定を踏まえた法科大学院における実務家教育の支援など、法科大学院教育の質の更なる充実等が喫緊の課題です。弁護士の活動の魅力や意義をアピールし、また、人々の暮らしや命を守ることを使命とする弁護士業務は、AI等の技術が進む中でも今後ともなくてはならない仕事であることを発信し、加えて、弁護士業務基盤の確立を具体化して、弁護士業務の将来に希望が持てる環境を整え、法曹志望者の確保に繋げる取組みを行います。
司法修習に関しては、今後の制度改正によっても修習の実質が後退しないよう最高裁等関係機関と引き続き協議するとともに、修習給付金についてはその円滑な制度運営を見守ります。
また、法曹人口に関しては、司法試験合格者1,500人の実現状況を見守りつつ、市民の司法アクセスの改善や弁護士の活動領域の拡大などに取り組み、また、今後の人口減少等の各地の弁護士業務量への影響を注視しつつ、2012年の法曹人口政策に関する理事会決議及び2016年の臨時総会「法曹養成制度改革の確実な実現のために力を合わせて取り組む決議」で示された「更なる減員」の検証の方針に基づき、検証・検討を進めます。